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相続手続き 2025.11.12

預金・株式・保険|金融資産の名義変更のポイント

はじめに:金融資産の名義変更、放置していませんか?

相続が発生すると、避けて通れないのが「金融資産の名義変更」です。

故人名義のままでは資産は凍結され、

・預金が引き出せない

・株式の売却や議決権行使ができない

・生命保険金が請求できない(契約者死亡時)

など、生活や相続手続きを進める上で大きな支障となります。

特に複数の金融機関に資産が分散している場合、それぞれで個別手続きが必要なため、非常に手間がかかります。

ここでは、司法書士実務に基づき、預金・株式・保険それぞれの名義変更ポイントを分かりやすく解説します。

1. なぜ金融資産の名義変更が必要なのか

相続発生後、被相続人名義のままでは

✅ 預金凍結

✅ 株式・投資信託の配当や分配金受取不可

✅ 売却や解約ができない

✅ 資産把握が遅れ、次の相続が複雑化

といった問題が生じます。

相続人が誰で、誰がどの資産を取得するかを明確にし、速やかに各金融機関へ名義変更を届け出ることが重要です。

2. 預貯金の名義変更(解約手続き)

手続きの流れ

・金融機関へ相続発生の届出

・所定の相続手続依頼書を入手、記入

・必要書類を提出

・金融機関の審査後、解約または相続人名義口座へ振込

必要書類(一般例)

・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)

・相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書

・遺産分割協議書または遺言書

・相続関係説明図

・金融機関所定の依頼書

・通帳・キャッシュカード

実務ポイント

・金融機関ごとに手続書類や審査期間が異なる

・法定相続分で分ける場合も、全員の署名・押印が必要(一部簡易方式を除く)

・預貯金払戻制度により、遺産分割前でも一定額(法定相続分×150万円まで)払い戻し可能

3. 株式・投資信託の名義変更

手続き先

上場株式・投資信託 ー 証券会社(口座開設先)

自社株(非上場株式) ー  株主名簿管理人(信託銀行等)または会社

必要書類

・被相続人と相続人の戸籍謄本一式

・相続人の本人確認書類

・相続関係説明図

・遺言書または遺産分割協議書

・株券(紙券が残っている場合)

実務ポイント

・株式は1株単位で分割できないため、特定相続人が取得し代償金で調整することが多い

・名義変更をしなければ売却不可

・配当金や株主優待受け取り遅延防止のため、早期手続きが重要

4. 生命保険の手続き(契約者死亡時)

生命保険は、受取人が指定されていれば相続財産ではなく受取人固有財産となります(相続税課税対象となる場合あり)。

手続き先

保険会社または代理店

必要書類

・死亡診断書(コピー)

・保険証券(紛失時は通知書)

・受取人の本人確認書類、印鑑証明書

・被相続人の住民票除票など

実務ポイント

受取人が指定されていない場合は相続財産扱いとなり、遺産分割協議が必要

保険金請求の時効は原則3年(保険約款による。請求により中断可の場合あり)

5. 金融資産の調査方法

「どの金融機関に資産があるか分からない」というケースも珍しくありません。

調査のヒント

・通帳、キャッシュカード

・証券会社や銀行からの郵便物

・確定申告書、年末調整資料

・スマホアプリ、WEB履歴

・自宅の書類ファイル、PC内データ

※ネット銀行・ネット証券は特に見落としやすいため注意。

専門家に依頼すべき判断ポイント

以下のケースでは、司法書士・行政書士・税理士など専門家への依頼が有効です。

✅ 相続人が多数いて調整が難しい

✅ 被相続人の戸籍が複雑

✅ 複数の金融機関で手続きが煩雑

✅ 生前贈与や特別受益・寄与分が絡む

✅ 相続税申告も視野に入っている

よくある質問(Q&A)

Q. 相続人1人だけで手続きできますか?

A.他の相続人の同意が必要です。名義変更や解約には全員の署名・実印・印鑑証明が必要です。

Q. 金融機関ごとの書類は共通ですか?

A. 異なります。銀行、証券会社、ネットバンクごとに専用書式があります。

Q. 手続きを放置するとどうなりますか?

A. 銀行口座は10年で休眠預金となります(払い戻し可)。株式・投信は名義変更しなければ売却も配当受取もできず、相続人がさらに増えると複雑化します。

まとめ:金融資産名義変更は早期対応がカギ

🔑 金融資産相続には名義変更・解約が不可欠

🔑 預金・株式・保険でそれぞれ異なる書類と手続きが必要

🔑 相続人全員の同意が基本ルール

🔑 放置すると将来の相続が複雑化

💡専門家への相談も選択肢に

当事務所では、戸籍収集から相続関係説明図作成、遺産分割協議書、金融機関手続きまで一括サポート可能です。

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