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相続手続き 2025.11.12

遺留分侵害請求とは?知っておくべき知識

はじめに|「遺言通りに分ければ問題ない」と思っていませんか?

被相続人が遺言書を残していても、相続人全員が納得するとは限りません。

そんなとき問題になるのが“遺留分(いりゅうぶん)”の侵害です。

この記事では、司法書士の立場から、

✅ 遺留分の仕組み

✅ 誰にどれだけ権利があるのか

✅ 請求手続きと注意点

を分かりやすく解説します。

1. 遺留分とは?|相続人に認められた最低限の取り分

遺留分の定義

遺留分とは、遺言があっても一定の相続人に保障される最低限の相続権です。

例えば「全財産を長男に相続させる」と遺言があっても、他の子や配偶者は遺留分を請求できます。

誰に遺留分がある?

相続人 ー 遺留分の有無

配偶者 ー あり

子(実子・養子) ー あり

直系尊属(親など) ー  子がいない場合に限りあり

兄弟姉妹  ー なし

相続人遺留分割合
配偶者のみ、直系卑属(子など)のみ、配偶者と直系卑属(子など)、配偶者と直系尊属(父母など)の場合2分の1
直系尊属(父母など)のみの場合3分の1
兄弟姉妹のみの場合遺留分なし

2. どんなときに遺留分侵害が問題になる?

✅ 遺言で特定の相続人に全財産を遺贈した場合

→ 他の相続人の遺留分を侵害している可能性あり。

✅ 生前贈与で特定の子に不動産を与えていた場合

→ 相続開始から10年以内の贈与は遺留分計算に含まれます。

✅ 第三者(内縁配偶者や他人)に多く遺贈した場合

→ 法定相続人の遺留分を侵害している可能性あり。

3. 遺留分侵害額請求とは?|取り戻すための法的手段

遺留分が侵害された場合、相続人は「遺留分侵害額請求権」を行使できます。

2019年改正ポイント

従来の「物権的請求(遺留分減殺請求)」から、「金銭請求」に変更されました。

請求の流れ

①内容確認

 遺言・贈与内容、相続人構成、評価額を把握

②相手方特定

 遺贈や贈与を受けた者が対象

③内容証明郵便で請求

 書面で正式に請求意思を伝達

④交渉・合意

 任意支払いがなければ調停・裁判へ

請求には時効があります!

相続開始と侵害を知った時から1年以内

相続開始から10年で完全消滅

→ 知った時点で迅速な対応が必要です。

4. よくある質問(Q&A)

Q. 相続財産が不動産だけで現金がない場合は?

→ 金銭請求のため、物納や分割払い、売却協議が必要。

Q. 「長男に全財産を相続させる」という遺言は有効?

→ 有効。ただし、他の相続人の遺留分侵害部分は請求可能です。

Q. 遺留分を放棄することはできる?

→ 生前放棄は家庭裁判所許可が必要。

5. まとめ|遺留分は最低限の権利。遺言だけでは解決できない

  • 遺留分は配偶者・子・親の最低限権利を守る制度
  • 兄弟姉妹には遺留分なし
  • 請求権は金銭請求のみ
  • 時効は「知ったときから1年」「相続開始から10年」

相続トラブルを避けるには、事前の設計がカギ

司法書士として、

・遺言作成支援

・遺留分を考慮した遺産設計

を行っています。

「この遺言で大丈夫だろうか?」

「どのように遺言書を作成していけばよいだろうか?」

そんな疑問があれば、お気軽にご相談ください。


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