遺言書は必須?公正証書遺言と自筆証書の違いとは

はじめに|
「遺言書は書いた方がいいですか?」
これは相続相談の中でも最も多く寄せられる質問の一つです。
民法では、遺言書がない場合、遺産は法定相続分に従って分けられます。しかし実際の現場では、
不動産の共有による将来的なトラブル
預金の解約や分割の煩雑さ
遺産分割協議での家族間の対立
など、想定外の問題が起こるケースも少なくありません。
その予防策として有効なのが「遺言書」の作成です。中でも、「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」は代表的な方式ですが、それぞれ内容や効力、費用、手続きが異なります。
本記事では、司法書士の視点から、遺言書の重要性と二つの形式の違いについて、わかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
・遺言書はなぜ必要か
・自筆証書遺言と公正証書遺言の違い
・それぞれのメリット・デメリット
・法務局の保管制度とは
・専門家に相談すべき理由
遺言書の必要性とは?
遺言書の主な目的は、被相続人の意思を法的に明確に残すことにあります。具体的には以下のような効力を持ちます。
- 相続人間のトラブル防止
- 内縁関係の配偶者や孫への遺贈
- 不動産を特定の相続人に集中相続させる
- 遺留分に配慮した遺産配分
遺言があることで、相続人は迷わず行動でき、遺された家族に安心をもたらします。
遺言書がない場合の流れ
遺言がないと、遺産は民法に基づく法定相続分で分割されます。
しかし、預金の解約、不動産の名義変更などには相続人全員の同意(遺産分割協議)が必要です。これが成立しないと手続きが進まず、口座凍結の長期化や名義変更の遅延といった問題が生じます。
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言の定義と方式
民法968条に定められた方式で、全文・日付・氏名を自署し、押印することで成立します。
パソコンや他人の代筆は認められず、方式に不備があると無効となります。
メリット
手軽に作成可能
費用がほぼかからない
デメリット
方式不備で無効となる例が多い
検認が必要(家庭裁判所での手続き)
紛失や改ざんのリスクがある
公正証書遺言とは?
公正証書遺言の定義と方式
民法969条に基づき、公証人が遺言者の意思を確認しながら作成します。証人2名以上の立会いが必要で、原本は公証役場に保管されます。
メリット
方式不備のリスクがない
家庭裁判所での検認が不要
原本が保管され、紛失・改ざんの心配がない
デメリット
公証人手数料や証人報酬などで数万円~数十万円の費用がかかる
証人の確保が必要(推定相続人などは不可:公証人法)
自筆証書遺言保管制度とは?
2020年からスタートした新制度です。
法務局にて自筆証書遺言を保管でき、検認手続きが不要となるのが特徴です。
ただし、保管されるのは「書面」であり、内容の有効性までは保証されません。
誤字脱字や方式違反があってもチェックされない点には注意が必要です。
よくある質問(Q&A)
Q. 公正証書遺言の証人は誰でもなれる?
A. 推定相続人・その配偶者・公証人の配偶者等は証人になれません。専門家が証人を務めることも多いです。
Q. 自筆証書遺言で無効になりやすい例は?
A. 日付の記載漏れ、ワープロや代筆使用、一部印鑑漏れなどが原因です。
Q. 自筆証書遺言は法務局保管で絶対に安心?
A. 保管制度で紛失や検認手続きは避けられますが、内容の法的有効性は保証されません。作成前に専門家に確認しましょう。
専門家に相談するメリット
遺言書は、一生に一度書くかどうかの大事な書類です。
作成方法を間違えると無効になることもあるため、司法書士などの専門家に相談することで、
・法的に有効な形式での作成
・遺留分への配慮
・不動産や金融資産への適切な記載方法
などを含めた、実効性の高い遺言を作成することができます。
まとめ|家族の未来のために、確実な一歩を
遺言書は、あなたの想いを法的に残し、家族の安心を支える最も有効な手段です。
「どの遺言書がいいかわからない」
「費用や手続きが心配」
そんなときは、専門家に相談することで迷いが解消され、将来の相続トラブルを未然に防ぐことができます。
当事務所では、初回相談を承っております。
公正証書遺言の文案作成、自筆証書遺言のチェック、保管制度の手続きまで、幅広くサポートいたします。
お気軽にご相談ください。
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