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相続手続き 2025.11.12

法人化と資産管理会社で相続税を抑える方法

はじめに|

「不動産を法人化すると相続税が安くなると聞いたのですが、本当ですか?」

資産家や不動産オーナーの相続対策において、「資産管理会社(法人化)」の活用についてご相談を受ける機会が増えています。法人化には、

✅ 相続税評価額の圧縮

✅ 所得分散による所得税の軽減

✅ 資産承継の円滑化

といった節税効果が期待できる一方、

✅ 設立・維持コストの負担

✅ 融資・保証人に関する課題

✅ 税務否認リスク

といった注意点もあります。

本記事では、司法書士の立場から、資産管理会社の仕組みと節税効果、実務上の留意点までわかりやすく解説します。

資産管理会社とは? 目的と仕組み

資産管理会社とは、不動産・株式などの資産を保有・管理・運用するための法人(会社)です。オーナー個人の資産を法人名義に移転し、法人を通じて運用・承継を行う仕組みです。

相続時には、法人そのものではなく「法人の株式」を相続します。

株式の評価は相続税評価額(財産評価基本通達)に基づき、類似業種比準方式や純資産価額方式で算定されるため、個別資産よりも評価が低くなるケースがあります。

法人化の節税効果

株式評価による相続税の圧縮

不動産を法人に移転(現物出資や売却)すると、法人が保有する形になります。相続時に評価されるのは法人の株式であり、不動産自体ではありません。特に賃貸用不動産は、貸家・借地権割合を反映した評価減が可能であり、株式評価額は実際の不動産評価額よりも圧縮される可能性があります。

所得分散による所得税の軽減

資産管理会社の設立により、役員報酬を家族に分散することができます。例えば、オーナーの子を役員に任命し、報酬を支給することで所得分散が実現し、所得税の総額を抑えられるケースがあります。

贈与を活用したスムーズな資産承継

法人株式は、相続税評価額が低くなりやすいため、段階的に子や孫に贈与することで、贈与税の負担を抑えた円滑な承継が可能です。特に、自社株贈与には事業承継税制の特例(一定の要件あり)を適用できる場合もあります。

法人化の注意点

設立・維持にかかるコスト

資産管理会社の設立には、

・登録免許税

・定款認証費用

・司法書士等への専門報酬

が発生します。さらに、法人運営には、

・会計・税務顧問料

・法人税申告

・社会保険加入義務

などの維持費用が必要です。

借入金・保証に関する問題

不動産ローンを利用している場合、法人に不動産を移す際は、金融機関の同意が必要です。個人保証が残る場合や、法人への借入承継が拒否されるケースもあるため、事前の調整が不可欠です。

節税目的のみの法人化はリスクあり

形式的な法人化で実態が伴わない場合、税務署から相続税対策としての「租税回避」とみなされ、否認されるリスクがあります(法人税法第132条)。資産の運用実績や法人の収益活動が重要視されます。

専門家による支援が不可欠

司法書士は、法人設立登記や定款作成、役員構成の整備、自社株贈与など、法人化の法的サポートを担います。また、税理士・金融機関と連携することで、節税スキームの設計から承継実行まで一貫した支援が可能です。

よくある質問(Q&A)

Q. 法人化すれば必ず相続税が安くなりますか?

A. 効果はケースバイケースです。不動産の種類や収益性、移転スキームにより、かえって税負担が増える可能性もあります。

Q. 法人化のベストタイミングはいつですか?

A. オーナーが意思決定可能なうちに設立し、数年かけて運用実績を作るのが理想です。相続直前の設立はリスクが高まります。

Q. 法人化と家族信託の違いは?

A. 法人化は所有権を法人に移転し、法人税の対象になります。一方、家族信託は所有権は維持したまま、管理権限のみを移す制度であり、目的に応じた使い分けが必要です。

まとめ|法人化の活用は計画的に

資産管理会社の設立は、相続税評価額の圧縮・所得分散・承継の円滑化といった多面的なメリットがある一方、税務否認や設立コスト、金融機関との調整といったハードルも存在します。

当事務所では、司法書士として法人設立登記・自社株贈与・遺言・家族信託などを総合的に支援し、税理士や金融機関とも連携した「オーダーメイドの相続対策」をご提案しています。

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