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相続手続き 2025.11.12

自筆証書遺言保管制度とは?法務局での新しい選択肢

はじめに|

「自筆で遺言書を作ったけど、自宅に保管しておいて大丈夫なのだろうか?」

これは遺言相談の現場でよくいただくご質問です。

2020年7月からスタートした「自筆証書遺言書保管制度」は、自筆証書遺言を法務局で安全に保管できる制度です。

従来の自宅保管に伴うリスクを軽減し、より安心して遺言書を作成・保管できるようになりました。

本記事では、司法書士の視点からこの制度の概要、メリット・デメリット、手続きの流れ、そして注意点までわかりやすく解説します。

自筆証書遺言保管制度の概要

「自筆証書遺言保管制度」とは、遺言者本人が作成した自筆証書遺言を、法務局(遺言書保管所)に預けることができる制度です。

この制度を利用することで、相続開始後に必要だった家庭裁判所での検認手続きが不要となり、遺言の執行をスムーズに行うことが可能になります。

制度創設の背景

従来、自筆証書遺言は本人が自宅で保管するのが一般的でした。しかし、

・紛失・破棄・改ざんのおそれ

・発見されない可能性

・検認手続きに時間と手間がかかる

といった課題があり、遺言の実効性を損なうケースも少なくありませんでした。こうした背景から、安全に保管し、検認手続きを省略する制度として本制度が導入されました。

自筆証書遺言保管制度のメリット

紛失や改ざんのリスクがなくなる

法務局で遺言書の原本が厳重に保管され、内容もデータとして登録されます。これにより、第三者による改ざんや紛失のリスクが大幅に軽減されます。

家庭裁判所の検認が不要に

保管制度を利用した遺言書は、相続開始後の検認手続きが不要です。速やかな遺言執行が可能となり、相続人の負担も軽減されます。

利用手続きの流れと必要書類

①事前予約の上、遺言者本人が法務局へ出頭

②本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)を提示

③作成済みの遺言書原本を提出(用紙サイズA4、ホチキス不可)

④法務局による形式チェック

⑤問題なければ「保管証」が交付

費用は?

保管手数料は1通につき3,900円(収入印紙で納付)。

注意点と留意事項

注意① 内容の有効性はチェックされない

法務局は形式的な確認のみを行い、内容の法的有効性までは審査しません。たとえば以下のような問題はスルーされてしまいます。

・不動産の記載ミス

・相続割合の誤り

・遺留分侵害による無効のリスク

司法書士など専門家によるリーガルチェックを受けることで、将来的なトラブルを防げます。

注意② 撤回や変更には再出頭が必要

遺言書を撤回・変更したい場合、本人が法務局に再度出頭して手続きする必要があります。

変更する場合は、新しい遺言書を作成し、再度保管申請する必要があります。

専門家の視点:司法書士による活用支援

遺言書は「法的に有効であること」が最も重要です。

例えば、

・不動産の登記簿情報と異なる表記

・財産の分け方が不明確

・遺言執行者の指定漏れ

といったミスは、せっかくの遺言を無効にしてしまう可能性もあります。

司法書士としては、作成前の内容確認・文案作成サポートを行い、安心して保管制度を利用できる体制を整えています。

よくある質問(Q&A)

Q. 公正証書遺言とどちらがよい?

A. 公証人が関与する公正証書遺言は内容の法的有効性が担保され、確実性が高い一方、比較すると費用が高めです。

費用を抑えたい方には「自筆証書遺言+保管制度」の組み合わせが選択肢になります。

Q. 書き方を法務局で教えてくれる?

A. 法務局では作成支援や記載内容の相談には応じていません。形式不備があれば保管を拒否されるため、作成前に司法書士などの確認を受けることをおすすめします。

Q. 保管制度を使えば遺留分対策にもなる?

A. いいえ。遺留分問題は別途「遺留分侵害額請求」で争われる可能性があり、生前対策(贈与・信託等)での対応が必要です。

まとめ:制度を上手に活用するには

自筆証書遺言保管制度は、自宅保管によるリスクを回避し、相続手続きを円滑に進められる現実的な選択肢です。ただし、内容の有効性確認は利用者の責任であり、専門家の確認は欠かせません。

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