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不動産活用 2025.11.12

不動産オーナーが必ず知っておきたい建物点検と届出の基本

はじめに:オーナーにとって点検・届出が重要な理由

不動産オーナーにとって「建物の安全性」を確保することは、法的義務です。建物の点検や届出を怠ると、罰則や是正命令を受けるリスクがあるだけでなく、事故発生時にはオーナー責任が問われ、賠償責任や資産価値の毀損につながります。

特に高所得者の不動産オーナーや小規模ビルの所有者は、「管理コスト」と「テナント満足度」のバランスを考慮しながら、スケジュール管理と法令遵守を徹底する必要があります。

本記事では、建物管理に必須の 建築基準法に基づく定期検査 と 消防法に基づく点検・届出 を中心に、不動産オーナーが知っておくべき基本事項を整理します。

建築基準法に基づく建物定期検査

「建築基準法」(第12条)では、一定規模以上の建築物について、定期的な調査・検査を行い、その結果を所管行政庁に報告する義務があります。

対象となるのは主に以下の建物です。

・不特定多数の人が利用する建築物(ホテル、劇場など)

・多人数が利用する共同住宅や事務所ビル

定期報告の種類と内容

建築基準法に基づく定期報告には以下があります。

定期調査:建築物の敷地・構造・避難設備の状態を確認

定期検査:建築設備(換気設備、非常用照明、排煙設備など)の機能確認

報告は原則として特定行政庁が指定する建築士や検査資格者によって行われます。

違反した場合のオーナー責任

報告を怠った場合、罰金(建築基準法第101条)が科される可能性があります。また、是正命令に従わなければ、さらに厳しい行政処分や使用制限が課されることもあります。

消防法に基づく消防点検と届出

消防法が求める点検・届出

「消防法」(第17条の3の3、第36条)では、防火管理者の選任や消防設備点検、火災予防上必要な訓練の実施が義務付けられています。

対象となるのは、不特定多数の人が利用する建物や、一定規模以上の共同住宅・事務所ビルなどです。

消防設備点検の実務

消防法に基づき、建物オーナーは以下の点検を行い、所轄消防署へ報告する必要があります。

機器点検(6か月ごと):消火器、火災報知器、スプリンクラー等の機能確認

総合点検(1年ごと):設備全体の連動性や作動状況を確認

点検結果は消防設備士や消防点検資格者が記録し、消防署へ報告

違反時のリスク

届出を怠った場合、罰金(消防法第45条)が科される可能性があります。また、火災発生時に適切な防火措置が講じられていなければ、オーナー責任による民事賠償リスクが極めて高くなります。

実務的に押さえるべきポイント

1. スケジュール管理の徹底

建物点検は「年1回」「半年ごと」など周期が異なります。オーナー自身でスケジュール管理するか、不動産管理会社に委託して定期カレンダーを運用することが重要です。

2. コストと管理体制の最適化

点検・届出にはコストが発生しますが、長期的には事故リスクを抑える投資になります。複数物件を所有している場合は、まとめて依頼することでコストを抑えられる場合もあります。

3. テナント・利用者への説明責任

オーナーが法令を遵守していることは、テナントにとって大きな安心材料です。契約更新や賃料交渉の場面でも、適切な点検・届出の実績は信頼を高める要素になります。

まとめ

点検や届出は技術的な専門家の領域ですが、最終的な法的責任はオーナーに帰属します。

各法令に基づく義務の確認

点検・届出に関する契約書や管理委託契約のチェック

万一の事故に備えたリスク管理・承継スキームの整備

といった知識が必要になります。

建物の点検と届出は、単なる義務ではなく資産を守り、承継するための基盤です。確実に実行し、長期的な資産価値を維持していきましょう。


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