第1章【過料10万円以下】相続登記の「期限」を過ぎたらどうなる?義務化の基本ルールを解説

「義務」になった実家の名義変更
50代、60代の皆様は、親御様の相続が現実味を帯びてくる時期です。中でも最も大切な財産である「実家」や「土地」をどうするかは、大きな関心事でしょう。
「相続登記(名義変更)は、そのうちやればいい」という認識は、2024年4月1日をもって過去のものとなりました 。この日から、相続登記は法律上の「義務」に変わったのです。
実は、相続登記の履行期限 について 「 聞いたことがある 」 と答えた人は、約 43 % でした。認知度が低い現状では、「気づいたときには申請期限を過ぎていた」というトラブルが起こり得ます 。まずは基本ルールをしっかりと把握しましょう。
(新制度の認知度調査結果(令和6年度調査結果) – 法務省: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00674.html)
相続登記の基本:なぜ必要なのか?
まず、相続登記とは何でしょうか?
相続登記とは、故人から不動産(土地や建物)を相続した人を、新しい所有者として不動産の登記簿(法務局の帳簿)に記録する手続きです 。この手続きを行うことで、不動産の権利関係が公に証明され、他者に主張できるようになります 。 義務化の核心:いつから、いつまで手続きが必要?
今回の法改正で最も重要なポイントは、以下の2点です。
1. 義務化は「2024年4月1日」からスタート
改正された不動産登記法は、2024年4月1日から施行されました 。これ以降に相続が発生した場合はもちろん、それ以前に発生した相続でまだ名義変更が終わっていない場合も、義務化の対象となります。過去の相続への適用(遡及適用) については、施行日(2024年4月1日)より前に相続が発生し、まだ登記がされていない不動産についてになりますが、この場合の期限は、施行日から3年以内、すなわち2027年3月31日までです。
2. 申請期限は「知った日から3年以内」
相続人は、「不動産を相続したことを知った日から3年以内」に相続登記を申請しなければなりません 。これは、相続が起こったことと、その不動産の所有権を取得したことの両方を知ったときが起算点となります。
(相続登記の申請義務化に関するQ&A – 法務省: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html)
放置のペナルティ:過料を納めれば済む問題ではない
もし、正当な理由がないのにこの期限内に相続登記の申請をしなかった場合、どうなってしまうのでしょうか。
期限内に申請しなかった場合、10万円以下の過料(罰金のようなもの)というペナルティの適用対象となります 。
ここで誤解しがちな点があります。それは、「10万円以下の過料を払ってしまえば、相続登記をしなくても良い」という考え方です。
過料はあくまで「法律上の義務違反に対する行政上のペナルティ」であり、登記義務自体が免除されるわけではありません。過料を支払っても、登記をする義務はずっと残り続けます。
そして、登記を放置したままだと、将来的に以下のような深刻な問題に発展する可能性があります:
- 相続人が増え続け、親族が非常に多くなり、手続きが複雑化する(長期間「相続登記未了の土地」を相続した場合) 。
- 疎遠な相続人や音信不通の相続人との連絡調整が困難になる 。
- 不動産を売却しようとしても、名義変更がされていないと売却できなくなる 。
期限切れを防ぐための「相続人申告登記」
「遺産分割協議がまとまらない」「相続人が多すぎて調査に時間がかかる」といった事情で3年以内に正式な相続登記が難しい場合でも、義務違反を回避する特例措置があります。
「相続人申告登記」を行えば、過料を回避できます。ただし、これは名義変更そのものではなく、あくまで「義務を果たした」と見なされるための手続きです。遺産分割がまとまり次第、改めて正式な相続登記が必要です。
(相続人申告登記について-法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html)
司法書士からのアドバイス:早期の「事前対策」がカギ
相続に関する問題は、事前の対策をしていないがゆえに争いになったり、手続きが難航したりするケースが数多くあります 。特に不動産が含まれる場合は、専門的な知識と手続きが必要です 。
私たち司法書士は、不動産の登記に関する専門家です。登記漏れや遺産分割協議書の作成ミスを防ぎ、将来のことを考慮した適切な遺産分割が可能になるよう、中立な立場からアドバイスを提供します 。
「誰名義にすればよいのかわからない」「どのくらいの手間や費用がかかるのか」といったご不安がある方も多いでしょう。
まずは一度ご相談ください。私たち司法書士は、単なる手続きの代行に留まらず、皆様の不安を解消し、円満な相続を実現するための最適な道筋をご提案いたします。
【次のステップ】
次の記事では、相続登記を専門家に依頼した方が良い具体的なケースについて、「実家を売却したい」「平等に分けたい」といった事例を踏まえて詳しく解説します。https://atsutanomori-souzoku.com/blog/blog-230/
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