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相続手続き 2026.04.19

相続登記義務化の心強いツール 所有不動産記録証明制度の基本と活用

不動産の相続登記義務化に伴い、遺産調査の救世主となる「所有不動産記録証明制度」が令和8年2月に開始します。全国の不動産を一覧化できる本制度の仕組みや請求方法を、司法書士がわかりやすく解説。財産整理や遺言書作成にも役立つ必読のガイドです。

はじめに

「亡くなった親の遺産を整理しているが、どこに不動産があるのか完全に把握できていない」

「遺言書もなく、隠れた財産がないか不安だ」……。

50代以降になり、親の相続問題に直面してこのようなお悩みを抱える方は少なくありません。さらに、近年「不動産の相続登記義務化」がスタートし、放置すれば過料の対象になるリスクも生じています

この問題を解決する強力なツールとして、令和8年2月2日から新たに「所有不動産記録証明制度」が始まります。

本記事では、相続登記義務化の対策として欠かせないこの新制度の仕組みや請求方法をわかりやすく解説します。スムーズな遺産分割と相続登記に向けた具体的な第一歩を、一緒に確認していきましょう。


目次

  1. なぜ重要?不動産の相続登記義務化と遺産調査の課題
  2. 所有不動産記録証明制度とは?(令和8年2月開始)
  3. 制度の利用対象者と証明書の請求方法
  4. 検索の仕組みと請求時の注意点
  5. 遺言書作成など自身の財産整理(終活)にも有効
  6. まとめ

1. なぜ重要?不動産の相続登記義務化と遺産調査の課題

相続登記義務化による放置リスク

近年、所有者不明土地の発生を防ぐために、不動産の相続登記が義務化されました。これに伴い、相続人は被相続人(亡くなった方)名義の不動産を正確に把握し、速やかに名義変更の手続きを行う必要があります。

従来の遺産調査の難しさ

これまで、不動産の登記記録は土地や建物ごとに作成されており、全国の不動産から特定の人が所有権の登記名義人となっているものを抽出するのは困難でした。 そのため、親が遠方に持っていた土地や、山林などの存在を相続人が把握しきれず、見逃された土地について相続登記がされないまま放置されてしまう事態が少なからず生じていたのです。

2. 所有不動産記録証明制度とは?(令和8年2月開始)

全国の不動産を一覧化して証明

こうした遺産調査の負担を軽減するのが、令和8年2月2日から施行される「所有不動産記録証明制度」です。 この制度は、登記官が特定の被相続人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧的にリスト化し、証明書として交付してくれるものです。全国で所有する不動産がリスト化されて証明されるため、相続人が不動産を把握しやすくなります。

相続登記の負担軽減に直結

本制度を活用することで、当事者の手続的負担が軽減されるとともに、登記漏れを防止することができます。どこに不動産があるか分からないという不安が軽減され、より確実な遺産分割協議と相続登記へと進むことが可能になります。

3. 制度の利用対象者と証明書の請求方法

誰が請求できるのか

所有不動産記録証明書を請求できるのは、以下の条件に当てはまる方です。

  • 所有権の登記名義人(本人)
  • 相続人その他の一般承継人(亡くなった親の証明書を子が請求する場合など) ※法人も含み、また代理人による請求も可能です。司法書士などの専門家に依頼することもできます。

請求の手順・手数料・必要書類

請求は、全国すべての法務局・地方法務局(支局・出張所を含む)に対して、書面(窓口・郵送)またはオンラインで行うことができます。 手数料は、検索条件1件につき、1通当たり以下の通りです。

  • 書面請求(収入印紙で納付):1,600円
  • オンライン請求(郵送交付):1,500円
  • オンライン請求(窓口交付):1,470円

請求時には、本人の印鑑証明書や本人確認書類の写しが必要です。相続人が請求する場合は、さらに「所有権の登記名義人との相続関係・承継関係を証する情報(戸籍謄本など)」が必要となります。

4. 検索の仕組みと請求時の注意点

住所と氏名の正確な指定が必要

証明書の検索は、請求書に記載された「検索条件」を登記官がシステムに入力して行われます。具体的には、「氏名又は名称の前方一致、かつ、住所の市区町村までが一致している人」などのルールに基づき抽出されます。 ここで非常に重要なのが、検索条件が正確でないと抽出されないという点です。登記記録上の氏名・住所と、検索条件として記入した氏名・住所が異なる場合は検索結果から漏れてしまうことがあります。引っ越しで住所が変わっている可能性がある場合は、過去の氏名や住所を検索条件に加えることが推奨され、その際はそれを証明する書類(戸除籍謄本や戸籍の附票の写しなど)の提出が必要です。

検索対象外となるケース

本制度の検索対象は「所有権の登記がされている不動産」に限られます。土地や建物の表示に関する登記のみの不動産や、登記簿がコンピュータ化されていない不動産は検索結果として抽出されません。 また、該当する不動産が1件もなかった場合でも、「該当不動産がない旨の証明」がされますが、この場合も手数料はかかり、返却されませんのでご注意ください。

5. 遺言書作成など自身の財産整理(終活)にも有効

自身の財産目録作成への活用

この制度は、親の遺産を調べる相続人だけでなく、現在の所有者ご本人も利用できます。将来に向けて自身の財産整理(終活)を考え始めた際、「昔投資した不動産があるはずだが、正確な住所や地番がわからない」といったケースで非常に役立ちます。 ご自身で証明書を取得して正確な財産目録を作成しておけば、将来の遺産分割トラブルを未然に防ぐことができ、確実な遺言書の作成にも繋がります。

当「あつたの杜事務所」では、こうした新制度の活用サポートから、相続登記の義務化対応、確実な遺言書の作成まで、一貫してご相談を承っております。他の記事でも相続対策に関する情報を発信しておりますので、ぜひそちらもご覧ください。


6. まとめ

  • 相続登記の義務化により、遺産である不動産の正確な把握がこれまで以上に重要になっている。
  • 令和8年2月2日開始の「所有不動産記録証明制度」を使えば、全国の不動産を一覧リスト化できる。
  • 請求できるのは所有者本人やその相続人であり、オンラインや郵送での請求も可能。
  • 住所変更がある場合は、過去の住所も検索条件に含めるなどの工夫と付随書類が必要。
  • 相続発生時だけでなく、生前の財産整理や遺言書作成のための調査ツールとしても非常に有用。

親の財産調査や、ご自身の不動産管理に不安がある方は、制度の活用を見据えつつ、お早めに専門家へご相談ください。


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