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相続手続き 2025.11.12

相続放棄の判断は“3ヶ月以内”がカギ|迷ったとき、どう対応すべきか?

はじめに:借金も相続される?放棄を検討すべきケースとは

相続と聞くと、現金や不動産など「プラスの財産」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

しかし、実際には借金や連帯保証債務といった「マイナスの財産」も、相続の対象になります。

相続人は、原則としてプラスもマイナスも一体として引き継ぐ立場にあります。

そのため、債務が多い、あるいは遺産の内容が不明な場合は、「相続放棄」という制度を検討する必要があります。

1. 相続放棄とは? – 法的な仕組みと効果

相続放棄の基本

相続放棄とは、民法第915条に基づき、家庭裁判所へ申述することで相続人としての地位を放棄する制度です。

手続き先 ー 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所

期限 ー 相続の開始を知った日から3ヶ月以内

効果 ー 財産も借金も一切相続しない(はじめから相続人でなかったとみなされる)

撤回 ー 原則不可

2. 相続放棄が検討される主なケース

✅ 故人に多額の借金や滞納がある場合

✅ 債務額が不明でリスクを避けたい場合

✅ 保証人になっていた可能性がある場合

✅ 離れて暮らしており財産状況が分からない場合

✅ 絶縁状態で一切遺産を受け取りたくない場合

放棄を行えば、債権者からの請求を法的に拒否できます。

「3ヶ月以内」の期限に注意!放棄のタイミングと注意点

相続放棄の期限は、「自己のために相続が開始したことを知った日から3ヶ月以内」です。

死亡日=起算日ではないこともあるため、注意が必要です。

・死亡を当日知った  起算日:その日から3ヶ月

・後日死亡を知った  起算日:知った日から3ヶ月

✅ 注意点

預金を引き出した、保険金を受け取ったなど、「一部でも財産を使うと放棄不可(単純承認)」となる可能性があります。

遺産調査に時間がかかる場合は、家庭裁判所に「期間伸長の申立て」が可能です(審査あり)。

■ 相続放棄の手続きの流れ

申述書作成・提出

 相続放棄申述書を作成し、家庭裁判所へ提出。

必要書類の収集

 - 被相続人の出生~死亡までの戸籍

 - 申述人の戸籍謄本

 - 相続関係を証明する戸籍

 - 収入印紙(800円)・切手(裁判所指定分)

照会書への回答

 裁判所から届く意思確認書に記入・返送。

受理通知の到達

 相続放棄が正式に認められます。

■ よくある誤解と注意点

❌ 誤解①:銀行に言えば放棄できる

→ 放棄は必ず家庭裁判所での法的手続きが必要です。

❌ 誤解②:遺産を使わなければ放棄できる

→ 一部でも使えば「放棄不可」になるおそれがあります。

❌ 誤解③:一人が放棄すれば相続は終わる

→ 放棄すれば次順位(兄弟など)に権利が移ります。

■ 「限定承認」との違いは?

相続放棄 =相続人ではなくなる

手続き:単独で申述可

想定ケース:債務超過が確実 など

限定承認=プラス財産の範囲内で借金を返済

手続き:相続人全員の合意が必要

想定ケース:財産内容が不明なとき

よくある質問(Q&A)

Q. 3ヶ月を過ぎたら放棄できませんか?

→ 原則不可ですが、事情によっては例外的に認められる可能性もあります。

まとめ:相続放棄は“時間との勝負” ── 迷ったら早期相談を!

🔑 相続放棄は、家庭裁判所で行う法的手続き

🔑 「3ヶ月以内」の期限がある

🔑 借金がある・財産が不明・関係が薄いなどの場合は特に注意

🔑 一部でも遺産を使用すると放棄が不可能になるおそれ

🔑 専門家への相談は、早いほど選択肢が広がる

相続放棄をご検討の方へ

相続放棄は、申述書の作成、戸籍の取得、相続関係の確認など、専門性が高い手続きです。

特に「3ヶ月ルール」は見落とされやすく、判断が遅れると大きな負担が残る可能性もあります。

当事務所では、司法書士としてサポートを行っています:

迷ったときこそ、早めの相談が重要です。

相続発生直後の段階から、正確かつ冷静な判断をサポートいたします。


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