負動産(ふどうさん)に要注意!|不要な土地を相続しないために

はじめに:相続したくない不動産が増えている現実
かつては「不動産=資産」「子に残すべきもの」という考え方が一般的でした。
しかし近年、売れない・使えない・維持費ばかりかかる土地、いわゆる“負動産(ふどうさん)”をめぐる相続相談が増加しています。
山林や農地、地方の空き地・空き家など、将来使う予定がない土地を相続すると、固定資産税や管理責任という負担だけが続くことになりかねません。
この記事では、司法書士の立場から
✅ 負動産の特徴
✅ 相続前後でできる対策
✅ 国への返却制度の活用法
をわかりやすく解説します。
1. 負動産とは?定義と典型例
負動産(ふどうさん)とは、「不動産としての資産価値がない、またはマイナスになる可能性のある土地・建物」を指します。
こんな不動産は要注意
利用予定のない山林・原野 ー 手入れや境界確認が必要/売却困難
農地 ー 農業委員会の許可が必要/売却ハードル高い
再建築不可物件 ー 建て替え不可/資産価値が低下
地方の空き家 ー 維持費負担/借り手・買い手がつかない
土地の一部共有 ー 活用に共有者全員の同意が必要
これらはいずれも所有しているだけで固定資産税や管理義務が発生するため、相続後に「負担」に変わるリスクがあります。
2. 相続後に負動産を持つと何が起こる?
負動産を相続した場合の主なリスク
✅ 毎年の固定資産税支払い
✅ 雑草・倒木・不法投棄などの管理責任
✅ 売却・賃貸ができず放置状態に
✅ 将来、次の世代にさらに重い負担を引き継ぐことになる
こうした現実から、「相続しなければよかった」と後悔する方が後を絶ちません。
3. 負動産の相続を回避する方法は?
相続が発生する前と後では対策が異なります。
【生前】不要な不動産を子に押しつけないための対策
① 売却・処分を検討する
使わない不動産は、生前に売却しておくことが最善策です。
価格がつかない場合でも、処分方法がないか検討しましょう。
② 家族信託で処分権限を委任する
高齢で判断能力が低下すると売却できなくなるリスクがあります。
家族信託を活用すれば、信頼できる家族に処分権限を委ねることが可能です。
③ 生前贈与は慎重に
「先に土地を贈与しておこう」と考える方もいますが、負動産を贈与すると贈与税・固定資産税・管理負担が一気に子へ移るため注意が必要です。
【相続後】不要な土地を相続しないための選択肢
① 相続放棄
不要な土地しか財産がない場合や、マイナス財産が多い場合は、家庭裁判所で相続放棄を選択します。
期限:相続開始を知った日から3ヶ月以内
一部放棄はできず、全財産を放棄する必要があります。
② 相続土地国庫帰属制度の活用
2023年4月に始まった新制度で、不要な土地を国に引き取ってもらえる可能性があります。
【制度概要】
対象:相続または遺贈で取得した土地
要件:建物がない、土壌汚染・埋設物がない、権利関係に問題がない、所有権争いがない など
【注意点】
✅ 建物付き土地は不可(解体・滅失登記が必要)
✅ 土壌汚染や境界未確定地などは不許可
✅ 専門的調査が必要で、申請しても許可されない場合がある
4. よくある質問(Q&A)
Q. 土地に建物がある場合でも手放せますか?
→ いいえ。相続土地国庫帰属制度は建物がない土地が対象です。先に解体・滅失登記が必要です。
Q. 負動産を他の相続人に押しつけられますか?
→一方的に押しつけることはできません。合意がない場合は共有になります。
Q. 地元の不動産業者が引き取ってくれる可能性は?
→ 売却益が見込めない土地は断られることが一般的です。寄付や無償譲渡を含めて交渉する必要があります。
まとめ:負動産は「相続前」と「相続後」でできることが違う
✅ 利用予定のない不動産は、「資産」ではなく「負担」になる可能性がある
✅ 山林・農地・空き家・共有地は管理コストと責任が重い
✅ 相続前:売却・家族信託・贈与の見直し
✅ 相続後:放棄・国庫帰属制度の活用
将来のトラブルを避けるためには、今この時点での判断が重要です。
不要な土地の処分や相続放棄をご検討の方へ
司法書士は、相続登記や遺産分割協議書作成だけでなく、
✅ 不要不動産のご相談
✅ 相続土地の国庫帰属制度のサポート
も行っています。
疑問が生じたときは、登記・法的リスク・制度面を整理することが第一歩です。
負動産を次の世代に残さないためにも、専門家相談をご活用ください。
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