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相続手続き 2025.11.12

遺品整理の前に知っておきたい法律と費用感

司法書士が解説|トラブルを防ぐために知っておくべきこと

「遺品整理って、どこまで片付けたらいいの?」「親が亡くなった後、兄弟が勝手に物を処分してしまった…」

そんなお悩みを抱えるご家族から、私たち司法書士に相談が寄せられることは少なくありません。

遺品整理は、単なる“片付け”ではなく、法律上は相続財産の処分に該当する行為です。進め方を間違えると、後々の親族間トラブルにつながる可能性もあります。

この記事では、これまで数多くの相続案件に関わってきた立場から、以下のポイントについて解説します。

【この記事でわかること】

・遺品整理の法的な位置づけと注意点

・相続人全員の同意が必要な理由

・遺品整理業者に依頼する場合の選び方

・残置物処理や高額品の取り扱いに関する実務と法的リスク

・専門家に相談すべきケースとは

1. 遺品整理とは?法律上の位置づけ

遺品整理とは、故人の遺した物品(家具・衣類・書類など)を仕分け・処分する作業です。

ですが、その中には「相続財産」に該当するものも多数含まれているため、法律的には慎重に扱う必要があります。

たとえば、高価な時計や株式関係書類、通帳、印鑑、権利証などが見落とされることも多く、処分後に相続手続きが困難になる事例もあります。

2. なぜ相続人全員の同意が必要なのか?

法律上、相続財産は相続人全員の「共有状態」であるため、誰か一人の判断で処分や形見分けをしてしまうと、後から「勝手にやった」と責められる原因になります。

特に兄弟姉妹などが複数いる場合、「あの時計は自分がもらうはずだった」など、感情的な対立が長期化するケースも実際にあります。

3. 遺品整理の適切なタイミング

葬儀直後に「とりあえず片付けてしまおう」と動き出す方もいますが、遺産分割協議が済む前の処分はリスクが高いです。

特に価値があるもの(貴金属や骨董品など)を無断で処分すると、後で評価額の問題が生じる可能性があります。

基本的には、財産目録の作成と相続人間の協議が整ってから整理を進めるのが安全です。

4. 遺品整理業者に依頼する場合の費用感

費用は部屋の広さや物量により異なりますのでお見積りが必要です。

不用品の量、エレベーターの有無、交通の便、清掃・除菌の有無などによって、追加料金が発生する場合もあります。

5. 業者選びの注意点

遺品整理業者には「許可業者」と「無許可業者」が混在しています。

業者を選ぶ際は、次の2点を必ず確認してください:

一般廃棄物収集運搬業許可(市町村単位)

古物商許可(リサイクル品の売買がある場合)

また、見積書に「仕分け作業」「廃棄費用」「養生・人件費」などが明記されているかも重要なチェックポイントです。

6. 形見分けと相続財産の違い

形見分けは感情的な儀礼として行われることが多いですが、法的には相続財産の一部となる場合があります。

例えば、以下のようなものは注意が必要です:

高級腕時計や宝石類

美術品・骨董品

金券・未使用の現金等

こうした品については、遺産分割協議の対象に含める必要がある可能性が高く、贈与税の問題が発生することもあります

(※国税庁HP「贈与税がかからない場合:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm」参照)。

7. 処分する前に必ず確認すべきもの

処分前には、以下の重要書類や貴重品が混在していないかしっかりと確認しましょう。

✅ 通帳・キャッシュカード

✅ 権利証・登記簿関係

✅ 印鑑・保険証券

✅ 有価証券・株式関係書類

✅ デジタル機器(中に遺産情報や契約履歴が残っていることも)

8. 賃貸物件の法律問題

賃貸住宅であっても、借主死亡後の残置物は「相続人の管理責任」になります。

契約上は相続人に原状回復義務や賃料支払い義務が残るケースも多く、対応の遅れは家賃の無駄な発生につながります。

9. よくある質問Q&A

Q:形見分けに贈与税はかかる?

A:社会通念上「妥当」とされる範囲であれば非課税です。ただし、高価な品物(数十万円〜)は贈与税の対象になる可能性があるため、注意しましょう。

10. まとめ|専門家への相談が安心への近道

遺品整理は、「物の整理」だけでなく、「法律と感情の整理」でもあります。

特に、財産や不動産の処分が絡む場合は、後々のトラブルを避けるためにも司法書士など専門家の助言が重要です。


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