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相続手続き 2025.11.12

相続財産に借金があった場合の手続きと判断の流れ

はじめに|

「親に借金があったらどうすればいいの?」

「相続したら借金まで背負うのでは?」

そうした不安を抱く方は少なくありません。

実は、相続とはプラスの財産(預金・不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金・保証債務など)も対象になります(民法896条)。しかし、適切な手続きを取ることで、不必要な債務を回避できる仕組みもあります。

この記事では、司法書士の実務経験をもとに、借金のある相続の基本と対応の選択肢をわかりやすく解説します。

1. 相続人は借金も相続する

被相続人が亡くなった時点での借金は、法定相続人が法定割合に応じて相続します。また、被相続人が誰かの保証人であった場合、その「保証債務」も原則として相続対象となります(民法896条)。

2. 相続放棄とは?(民法939条)

借金を含め、相続財産を一切引き継がない手続きが「相続放棄」です。

家庭裁判所に申述することで、最初から相続人でなかったものとみなされます。

注意点:

申述期限は「自己のために相続が開始したことを知った日から3か月以内」(民法915条1項)

放棄後は、不動産・預金も含めすべての財産を取得できなくなります。

財産を処分した場合(例:預金を引き出す、車を売るなど)は放棄が認められず、「単純承認」と扱われる可能性があります(民法921条)。

3. 限定承認とは?(民法922条)

「相続財産の範囲内で借金を返済する」制度が限定承認です。

相続人全員の同意が必要で手続きも複雑です。

実務上の注意点:

限定承認は一般的に利用者が少なく、専門家の関与が必須になることもあります。

財産調査を正確に行わないと、想定外の債務が出てくる可能性も。

4. 3か月の熟慮期間でやるべきこと

借金の有無が不明な場合でも、3か月以内に判断を下さなければ、単純承認(すべてを引き継ぐ)とみなされます。

この期間に行うべき調査:

・通帳やカード履歴の確認

・信用情報機関への開示請求(CIC、JICCなど)

・保証人情報の確認(過去の契約書や知人の証言)

5. 借金を相続した場合の対応フロー

相続することを選択した場合は、以下のような流れで進めます。

・債権者への連絡・確認

・相続人間で返済割合や分担の協議

・必要に応じて債務整理や分割返済の交渉

・財産の売却や分配計画の立案

6. よくあるトラブルと注意点

相続放棄をしたつもりでも、財産の一部を処分した事実があると、法定単純承認とみなされ、放棄が無効になる恐れがあります。

また、放棄や限定承認をした場合、次順位の相続人(兄弟や甥・姪など)に負債のリスクが回ることもあるため、家族間での情報共有も大切です。

7. 専門家に相談すべきケース

以下のような場合は、早めに司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。

・借金の有無が不明な場合

・相続人が複数おり、協議が難しい場合

・保証人の地位に関するトラブルがある場合

・限定承認を選択したいが、手続きが煩雑な場合

まとめ

相続財産に借金が含まれているかどうかは、相続開始後すぐに確認すべき重要事項です。

対応を誤ると、不要な債務を負うことになりかねません。相続放棄や限定承認といった制度を理解し、3か月以内に正しく判断することが重要です。

名古屋市熱田区の当事務所では、相続放棄や限定承認を含む相続の初期相談を承っています。悩んだら、まずは一度ご相談ください。


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