空き家の相続後の管理・売却・譲渡の選択肢

はじめに|
実家を相続したものの、住む予定がない──
そんな「空き家の相続」は、今や全国的な社会問題となっています。
全国の空き家率は13.8%と過去最高を記録しています。
(総務省 「令和5年住宅・土地統計調査(速報)」https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf )
空き家を放置することで、税負担の増加や近隣トラブルにつながることもあります。
この記事では、相続登記や空き家に関する相談を数多く受けてきた司法書士の視点から、
・空き家を放置することのリスク
・管理・売却・賃貸・解体という4つの選択肢
・3000万円特別控除や相続登記義務化の重要ポイント
について、わかりやすく解説します。
空き家を放置するリスクとは?
空き家をそのままにしておくと、以下のようなリスクが現実になります。
● 倒壊・火災・治安悪化の恐れ
・老朽化による倒壊、雨漏り
・放火・不法侵入・不法投棄
・害虫や雑草の繁殖による景観悪化
● 「特定空き家」に指定されると税負担が増加
空き家が管理不十分とみなされると、自治体から「特定空き家」に指定される場合があります。
特定空き家とは
「そのまま放置すれば倒壊等の著しい危険がある」など、管理が不十分な建物のこと(空家等対策特別措置法2条2項)
この指定を受けると、固定資産税の住宅用地特例(1/6軽減)が解除され、税負担が最大6倍に増加。
さらに自治体から修繕命令や行政代執行が行われることもあります。
空き家を管理する際のポイント
居住予定がなくても、しばらく維持するなら以下のような管理が必要です。
● 管理の基本対応
・月1回以上の換気・通水・清掃
・建物外観・屋根・設備の点検
・雑草の除去・庭木剪定・防犯対策
遠方にお住まいの場合は、空き家管理サービスを利用するのも有効です。
売却という選択肢と「3000万円特別控除」
空き家に住む予定がない場合、「売却」は非常に有効な手段です。
● 売却のメリット
・維持費や固定資産税からの解放
・老朽化リスク・近隣トラブルの回避
・相続人間のトラブル防止
相続空き家の「3000万円特別控除」
一定の条件を満たせば、売却益に対して最大3,000万円まで非課税となる特例があります。
【根拠条文】
租税特別措置法 35条3項
主な要件
イ 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
ロ 区分所有建物登記がされている建物でないこと。
ハ 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
適用の可否は細かい条件によるため、専門家による確認が必須です。
賃貸に出す際の注意点と収益化の可能性
空き家を賃貸に出せば、定期的な収益が見込める一方でリスクも伴います。
● 賃貸化の課題
・修繕やリフォーム費用が発生
・空室リスクや入居者トラブル
・築年数・立地による借り手不足
現実には「思ったほど借り手がつかない」ケースも多く、不動産会社の賃料査定や地域需要の調査が重要です。
解体して更地にするという選択肢
建物の老朽化が激しい場合、いっそ解体する選択も検討されます。
● メリット
・倒壊・火災などのリスク回避
・更地売却や新築建築の可能性
● デメリット
・解体費用がかかる
・住宅用地の軽減特例が失われ、固定資産税が上昇
税制上のデメリットも大きいため、解体と売却のタイミングを慎重に検討することが求められます。
【重要】相続登記は義務化されています
2024年(令和6年)4月1日から、相続登記が義務化されました。
● 義務内容と罰則(不動産登記法 第76条の2)
・相続により不動産を取得した場合、取得を知った日から3年以内に登記申請が必要
・違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性あり
売却や管理を進める前に、まずは「不動産の名義変更(相続登記)」が必要です。
よくある質問(Q&A)
Q. 親が老人ホームに入所していた場合、3000万円特別控除は使える?
A. 一定の条件(入所直前まで居住していた等)を満たせば、適用される場合があります。
Q. 相続登記をしていない空き家は売却できる?
A. 登記が完了していない場合、売買契約や引渡しはできません。名義変更が先決です。
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