生前贈与で相続対策ができる?年間110万円の非課税枠の活用

はじめに|
「相続税対策に生前贈与が良いと聞いたけど、どう始めればいいの?」
そんなご相談が増えています。
相続税の基礎控除が縮小され、課税対象となる家庭は年々増加傾向にあります。その中で、「生前贈与の年間110万円の非課税枠(暦年課税制度)」を活用することは、有効な相続対策のひとつです。
ただし、生前贈与には誤解や落とし穴も多く、
・110万円を超えるとどうなる?
・相続発生前3年以内の贈与はどう扱われる?
・相続時精算課税制度との違いは?
といった注意点も理解しておく必要があります。
本記事では、司法書士としての実務経験を踏まえ、生前贈与の基本や活用法、注意点をわかりやすく解説します。
【この記事で解説する内容】
・生前贈与の基本と税制
・年間110万円の非課税枠の仕組み
・相続税対策としての効果
・よくある誤解や失敗事例
・専門家に相談すべき理由
生前贈与とは?基本の仕組み
生前贈与とは、生きているうちに財産を他人に無償で譲り渡すことです。贈与税の課税対象となり、年間110万円を超えると、超過部分に税率10〜55%の贈与税が課されます。
年間110万円の非課税枠(暦年課税制度)とは
贈与税には、受贈者ごとに年間110万円までの基礎控除があります。たとえば親が子に110万円以内の贈与を毎年行えば、贈与税はかかりません。
複数年にわたり非課税で資産移転が可能
例えば毎年100万円ずつ10年間贈与すれば、1,000万円の財産を税負担なく移転できます。このようにコツコツと資産を移転することが、生前贈与による節税の基本戦略です。
110万円を超えた場合は?
たとえば年間200万円を贈与した場合、110万円を超えた90万円が課税対象になります。この場合、税率10%が適用され、9万円の贈与税が課税されます
(国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm」参照)。
贈与税は累進課税であり、金額が大きくなると税率も上がるため注意が必要です。
相続発生前7年以内の贈与は加算される
贈与者が亡くなる前7年以内の贈与については、相続税の課税対象として加算されます(相続税法第19条)。
7年ルールに注意
たとえば毎年100万円の贈与をしていても、贈与者が亡くなって7年以内なら、その金額は相続財産に含まれ、相続税が課税されるため、節税効果は限定されます。
相続時精算課税制度との違い
相続時精算課税とは?
60歳以上の親から18歳以上の子へ、累計2,500万円まで贈与税がかからない制度です(申告が必要)。
ただし、相続時にこの贈与分も相続財産に加算され、相続税の対象になります。
相続開始前に資産移転が可能
生前贈与のメリット
・相続財産を圧縮できる
・教育資金贈与・住宅取得資金贈与などの特例制度と併用可能
生前贈与のデメリット・注意点
・7年以内の贈与は加算され、節税効果が下がる
・贈与契約書がないと「本当に贈与が成立しているか」が争点に
通帳や印鑑の管理状況によっては贈与の否認も
よくある失敗事例
典型的なトラブル例
・親が通帳・印鑑を管理していたため、「贈与が成立していない」と判断された
・毎年同額の贈与が「定期贈与」と見なされ、全体が課税対象にされた
このような失敗は、贈与契約書の未作成や、形式だけの贈与が原因です。
専門家に相談すべき理由
司法書士や税理士などの専門家が関与することで、以下の点が明確になります。
・贈与契約書の適正な作成
・通帳や印鑑管理のアドバイス
・教育資金特例や住宅取得資金特例の活用提案
・不動産贈与に関する評価や登記手続きのサポート
よくあるQ&A
Q. 毎年110万円贈与すれば確実に節税になりますか?
A. 親の管理下などの理由で「贈与が成立していない」と見なされ、否認される場合があります。
Q. 教育資金の贈与は非課税ですか?
A. 一括贈与で1,500万円まで非課税となる制度があります(一定の条件あり)。
(国税庁HP 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201304/01.htm)
Q. 不動産を生前贈与できますか?
A. 不動産は評価額により贈与税が高額になる可能性があり、登記費用・取得税も含めて要検討です。
まとめ|生前贈与を正しく活用しよう
生前贈与は、正しく行えば相続税対策として非常に有効です。
しかし、制度を理解せずに進めると、トラブルや税務調査の対象になりかねません。
当事務所では、司法書士として贈与契約書の作成、不動産贈与の登記、税理士との連携を通じて、安心して生前贈与を進めていただける体制を整えています。
「うちでも生前贈与を活用すべき?」とお悩みの方は、初回相談(無料)でお気軽にご相談ください。
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