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相続手続き 2025.11.12

相続で増える「デジタル遺品」―SNS・仮想通貨・データの正しい整理と注意点

はじめに|

相続の現場で近年増えているのが、「デジタル遺品」と呼ばれる財産やデータの問題です。

デジタル遺品とは、故人が生前に利用していたパソコン、スマートフォン、タブレット、外付けHDD、SDカードなどのデジタル機器や、SNSアカウント、仮想通貨、FX口座など、デジタル上に存在する財産・情報を指します。

これらは紙の書類のように目に見えないため、相続人が存在や価値に気づかず放置してしまうケースも少なくありません。

デジタル遺品で注意すべきこと

最も避けるべき行為は、むやみにパスワードを入力したり、端末を初期化してしまうことです。

間違ったパスワードを繰り返し入力すると、データがロックされたり、完全にアクセス不能になるおそれがあります。

また、市販のパスワード解除ソフトを使用すると、データが破損し、専門業者でも復旧できなくなる場合があります。

データの中身を確認する必要がある場合は、必ず専門業者に相談し、データ復元やパスワード解除の見積もりを依頼しましょう。

ただし、スマートフォンはセキュリティが厳重なため、ロック解除が困難なケースが多いのが実情です。

仮想通貨・FX口座の相続

仮想通貨(暗号資産)やFX取引口座も、デジタル遺品の代表格です。

FX口座は名義変更ができないため、故人の口座残高を相続人が確認し、現金化した上で相続人名義の新規口座へ移すのが一般的です。

仮想通貨の場合は、取引所によって対応が異なります。

ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、ウォレット情報や秘密鍵がわからないと資産の引き出しが不可能になります。まずは、

取引所の利用規約で死亡時の取扱いを確認し、契約解除の有無や相続人による引継ぎの可否を問い合わせることが重要です。

法整備はまだ十分ではないため、慎重な対応が求められます。

SNSアカウントの対応

SNSアカウントも相続において無視できない存在です。

Facebookでは、死亡を証明できる書類(死亡届や死亡記事など)を提出すれば、アカウントを削除または追悼(メモリアル)アカウントに変更できます。

Twitter、Instagram、Google、LINE、Yahoo!なども、それぞれヘルプセンター等を通じて削除・凍結・データ引継ぎの申請が可能です。

ただし、SNS運営会社はプライバシー保護の観点から、相続人であってもアクセス制限を解除しない場合が多く、手続きには時間がかかることもあります。

デジタル遺品の管理を「生前」から意識する

相続トラブルを防ぐためには、生前からデジタル資産の整理と情報共有をしておくことが理想です。

たとえば、重要なアカウントや仮想通貨のウォレット情報を信頼できる家族や専門家に伝えておく、またはエンディングノートやデジタル遺言サービスを利用する方法もあります。

まとめ

デジタル遺品は、従来の相続財産とは異なり「存在が見えにくく、扱いを誤ると失われるリスク」があります。

パスワード解除やアカウント削除の手続きを慎重に進めるとともに、仮想通貨やSNSなどの契約内容を正確に把握し、必要に応じて司法書士や専門業者に相談することが安心です。

デジタル資産の正しい理解と管理こそが、これからの時代の「新しい相続対策」といえるでしょう。


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