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不動産活用 2025.11.12

不動産のプロが物件を購入する際にチェックする内容(不動産ファンドの目線)

はじめに|

不動産を売却する際、オーナーが気になるのは「いくらで買ってもらえるのか」という点です。しかし、購入する側――特に不動産ファンドやプロの投資家――は単純に立地や外観だけを見て判断しているわけではありません。実際には、収益性・リスク・将来の出口戦略まで多角的にチェックし、投資の是非を決めています。もし売却を検討しているオーナー様が、この「プロの視点」を理解して準備をすれば、価格交渉を有利に進められる可能性が高まります。本記事では、不動産ファンドが物件を購入する際に確認するポイントを整理し、売却を考えるオーナーに役立つヒントを解説します。

「収益性」「リスク管理」「将来の売却可能性」

不動産ファンドが購入判断で重視するのは、大きく分けて「収益性」「リスク管理」「将来の売却可能性」の3点です。

具体的には、

①現在の賃料水準と空室率、

②修繕・管理体制の良否、

③立地の将来性、

④法務・税務リスク、

⑤出口戦略のシナリオ、

を細かく分析します。

これらの観点から「リターンが見込めるか」「想定外のリスクはないか」を徹底的に検証するのがプロの視点です。

オーナーとしては、これらのポイントを理解し、事前に改善や情報整理を行うことで、売却価格を引き上げることが可能になります。

収益性のチェックポイント:

不動産ファンドは物件の「現在の収益」と「将来の収益予測」を重要視します。

・賃料水準の適正性

周辺相場と比較して高すぎないか、低すぎないかを検証。割高賃料は退去リスク、割安賃料は収益改善余地と判断されます。

・空室率と稼働率

現在の稼働率だけでなく、過去数年の空室推移を確認。安定稼働しているかどうかが投資評価に直結します。

・テナントの属性

法人テナントか個人か、長期契約か短期か。優良テナントが入居している物件は安定性が高いと評価されます。

物件・管理状態の確認:

ファンドは現地調査を重視します。

・建物の維持管理状況

定期修繕計画があるか、共用部の清掃が行き届いているか。管理の良否は将来の修繕費に直結します。

・大規模修繕の必要性

外壁・屋上防水・設備の老朽化をチェック。将来的に多額の投資が必要なら、その分価格に反映されます。

立地と将来性:

・エリアの人口動態・需要

名古屋圏であれば、名駅・栄などのビジネスエリアは法人・単身需要が強く評価され、郊外エリアは人口減少リスクを考慮されます。

・交通アクセス・利便性

駅徒歩分数・バス便・商業施設の近接度が評価基準。

・再開発・都市計画

周辺で再開発が予定されている場合、将来的な資産価値上昇要因としてプラス査定されます。

法務・税務リスク:

・権利関係の確認

登記簿上の所有権、抵当権、地役権などを確認。複雑な共有関係は敬遠されやすいです。

・契約関係の調査

賃貸借契約の条件(定期借家・更新条件)を確認。特にテナント契約は収益に直結するため重要です。

・税務リスク

固定資産税・都市計画税、譲渡所得税の見込みを踏まえて収益シミュレーションを行います。

出口戦略のシナリオ:

ファンドは「購入して終わり」ではなく、売却時に利益を出すことを前提に動きます。

・5年後,10年後の売却想定価格

・DCF法や収益還元法で将来価格を試算。

・誰に売却できるか

次の買い手(他ファンド、個人投資家、事業法人など)を想定します。

資産価値の維持・向上策

バリューアップ(設備更新、稼働率改善)による出口戦略を重視。

専門家の視点

私は大手不動産会社でプロパティマネジメント業務に携わってきました。

そこで痛感したのは、プロの投資家は「数字とリスク」を冷静に分析しているということです。

売主の想いよりも、賃料水準・修繕計画・法務リスクといった客観的データに基づき合理的に判断します。

オーナーがこの視点を理解し、事前に情報を整理しておくことはプロ投資家と会話する際に重要なポイントになります。

よくある質問・Q&A

Q1:小規模アパートでも不動産ファンドは購入しますか?

→ 基本的に数億円規模の物件が対象です。

Q2:築古でも購入される可能性はありますか?

→ はい。立地や収益性次第で購入されます。ただし大規模修繕費を見込まれるため、価格は調整されやすいです。

Q3:売却前にオーナーが準備すべきことは?

→ レントロール、修繕履歴、契約書類を整理しておくこと。これだけで印象が大きく変わります。

まとめ

不動産ファンドをはじめとするプロ投資家は、物件を「収益」「リスク」「出口戦略」の3つの視点から冷静に判断しています。

売却を検討しているオーナーがこの目線を理解すれば、適切な準備と改善によって物件の評価を高めることができます。

当事務所では司法書士としての法務サポートに加え、不動産管理・売買の実務経験を活かして、オーナー様の物件価値を最大化するための支援を行っています。

売却や承継を検討される際は、ぜひご相談ください。


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