ブログ

相続手続き 2025.11.12

第4章「争族」を避ける!揉めやすい複雑な相続ケースと司法書士への依頼基準   

導入:相続問題の「難しさ」は、手続きよりも「人」にある 

これまでの記事で、相続登記の義務化や具体的な費用についてご理解いただけたかと思います。 

しかし、相続問題が本当に難しくなるのは、手続きそのものよりも、「人」が絡むときです。特に50代・60代の方が直面する相続は、「老老相続」や「数次相続」により複雑化しやすく、少しのボタンの掛け違いで「争族」に発展するリスクを抱えています。 

ここでは、「争族」を避けるために、どのような複雑なケースで専門家の力が必要になるのか、そして「司法書士」「弁護士」に依頼する基準について解説します。 

1. 相続登記を専門家に依頼すべき「揉めやすい複雑なケース」 

以下のようなケースでは、手続きが煩雑になりがちで、司法書士に依頼することで、後のトラブルを大きく回避できます 。 

ケース1:疎遠な相続人や音信不通の相続人がいる場合  

  • 問題点: 遺産分割協議は、相続人全員の同意が必要です。疎遠な親族と連絡を取り、協議をまとめる作業は、精神的にも労力的にも大きな負担となります。 
  • 司法書士の役割: 相続人の特定のための戸籍調査 や、遺産分割協議書の作成を代理・サポートし、手続きをスムーズに進めることができます。 

ケース2:相続人に未成年者や認知症の方がいる場合  

  • 問題点: 相続人の中に未成年者や認知症など判断能力が不十分な方がいると、その方の権利を守るために、家庭裁判所への特別代理人の選任申立てなど、法的な手続きが必要になります。 
  • 司法書士の役割: これらの複雑な手続きにも対応し、法的に有効な遺産分割を実現するためのサポートを行います。 

ケース3:長期間「相続登記未了の土地」を相続した場合  

  • 問題点: 何十年も前に発生した相続で登記が放置されていると、相続人がねずみ算式に増え続け、相続人の特定(戸籍収集)が大変になります 。このまま放置すると、ますます権利関係が複雑になり、不動産の売却も困難になります。 
  • 司法書士の役割: 登記の専門家として、複雑に絡み合った相続関係を紐解き、現在の相続登記義務化の期限に間に合わせるための手続きを代行します。 

2. 「争いが起きたら」:司法書士と弁護士の役割分担 

専門家 専門分野と対応できること 依頼する基準 
司法書士 不動産登記、相続・遺言手続き、成年後見、裁判書類作成  相続人間で争いがない場合 。長期間未登記など、手続きが複雑な場合 。中立な立場で遺産分割のアドバイスを求める場合 。 
弁護士 法律紛争(争い)の解決、訴訟代理 すでに相続人の間で争いが起きている場合 。遺産分割協議が難航し、裁判などの法的な解決が必要な場合。 

【重要】 

すでに相続人の間で争いが起きている場合は、司法書士は介入できないため、弁護士のもとへ行く必要があります 。一方で、争いが起きる前に司法書士に相談することで、将来のことを考慮した適切な遺産分割が可能になり、「争族」を未然に防ぐことができます 。 

3. 司法書士へ依頼する3つの安心 

司法書士に依頼することで得られるメリットは、単なる手続き代行に留まりません。 

  1. 将来を見据えたアドバイス: 登記漏れや遺産分割協議書の作成ミスを防ぎ、将来のトラブルリスクを排除します 。 
  1. 中立な立場でのサポート: 相続人全員にとって中立な立場からアドバイスを提供するため、話し合いが円満に進みやすくなります 。 

💡 まとめ:「争族」回避は、早めの「事前対策」から 

相続登記の義務化は、「実家」や「不動産」の権利関係を整理するまたとない機会です。手間がかかるからといって放置せず、特に揉めやすい要素がある場合は、専門家を活用して確実に手続きを完了させましょう。 

【次のステップ】 

次回の記事では、50代・60代の皆様が特に気になる「認知症対策」に焦点を当て、「家族信託」などの生前対策について解説します。 

次回の記事:

「【認知症・老後対策】「実家の名義」で後悔しないための生前対策 https://atsutanomori-souzoku.com/blog/blog-233/」   


💡相続・資産承継のご相談は「あつたの杜事務所」へ

不動産と相続に強い司法書士が、ご家族の想いに寄り添いながら、最適な解決策をご提案します。
「何から始めればいいか分からない…」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

📅 ご予約方法(24時間受付)


🔹あつたの杜事務所(司法書士)
〒456-0031 名古屋市熱田区神宮四丁目6番25号 ナガツビル2B
相続・遺言・家族信託・不動産承継の専門家として、
「しなやかに。資産と想いをつなぐ。」をテーマにサポートしています。