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相続手続き 2026.02.07

建物表題登記の全知識 所在・家屋番号・種類・構造の実務を解説

建物表題登記の全知識 所在・家屋番号・種類・構造の実務を解説

「この建物の種類はどう判定すべき?」

「敷地が入り組んでいる場合の所在は?」

 建物表題登記において、こうした判断の難しさに頭を悩ませている方は少なくありません。

登記は土地家屋調査士の専門領域ですが、融資やその後の権利登記(保存・抵当権設定)を見据えた正確な手続きが極めて重要です。

本記事では、実務準則に沿った「所在・家屋番号・種類・構造」の正しい記載方法を徹底解説。

「あつたの杜事務所」の雁部が、不動産登記の全体像を俯瞰したプロの視点でナビゲートします。

確実な登記申請のために、ぜひご活用ください。

目次

1. 建物の「所在」と地番変更のルール

2. 「家屋番号」の付番ルールと実務

3. 「建物の種類」の定義と判定基準

4. 「建物の構造」の記載方法と区分

5. 複雑なケースの対処法(分筆・合筆・えい行移転)

6. まとめ

1. 建物の「所在」と地番変更のルール

建物の表題登記において、最初に特定すべき情報は建物の「所在」です。

これは「住居表示」ではなく、登記の敷地の場所を示す重要な要素です。実務上のポイントを中心に解説します。

(住居表示とは:名古屋市 https://www.city.nagoya.jp/kurashi/juutaku/1030361/1030363.html

所在の基本原則と複数筆の取り扱い

建物の所在は、原則としてその建物が建っている土地の地番区域(市、区、郡、町、村、字)および地番で表されます。建物が1筆の土地の上に建っている場合はその地番を記載しますが、実務で頻出するのは建物が数筆の土地にまたがっているケースです。

複数筆にまたがる場合の記載ルール

建物が2筆以上の土地にまたがって存在する場合、すべての地番を列挙しますが、その記載順序には明確なルールがあります。

原則: 建物の「床面積が多い部分」の存する地番を先に記載します。

主従関係がある場合: 「主である建物」が存する地番を先に記載し、附属建物が存する地番は後に記載します。

例えば、1番地と2番地にまたがって建物があり、2番地側の床面積の方が広い場合は、「2番地、1番地」と記載します。 また、地番が連続している場合(例:5番、6番、7番…)であっても、「5番地ないし9番地」のように省略して記載することは原則できませんが、地番が連続する場合に限り省略が認められるケースもあります(支号がある場合を除く)。実務上は正確を期すため、原則通りすべての地番を記載することが推奨されます。

特殊な所在の記載(仮換地・無番地)

土地区画整理事業地内の建物や、海上の建物など、通常の地番で表せないケースもあります。

仮換地上の建物: 土地区画整理事業において仮換地指定がなされている場合、建物の所在は「底地(従前の土地)」の地番で記載します。実務上は、底地の地番に続けて括弧書きで換地予定地番(例:〇市〇町2番地1(換地 〇市〇町 予定地番 1街区8画地))を併記することが一般的です。

無番地・水上の建物: 桟橋上の建物や固定された浮き船など、土地の上にない建物の場合は、その建物に最も近い土地の地番を用い、「◯番地先」と記載します。

<不動産登記事務取扱手続準則

(建物の所在の記録方法) 

第88条 建物の登記記録の表題部に不動産所在事項を記録する場合において、当該建 物が他の都道府県にまたがって存在するときは、不動産所在事項に当該他の都道府県 名を冠記するものとする。 2 建物の登記記録の表題部に2筆以上の土地にまたがる建物の不動産所在事項を記録 する場合には、床面積の多い部分又は主たる建物の所在する土地の地番を先に記録し、 他の土地の地番は後に記録するものとする。

3 前項の場合において、建物の所在する土地の地番を記録するには、「6番地、4番 地、8番地」のように記録するものとし、「6、4、8番地」のように略記してはな らない。ただし、建物の所在する土地の地番のうちに連続する地番(ただし、支号の あるものを除く。)がある場合には、その連続する地番を、例えば、「5番地ないし 7番地」のように略記して差し支えない。 

4 建物が永久的な施設としてのさん橋の上に存する場合又は固定した浮船を利用した ものである場合については、その建物から最も近い土地の地番を用い、「何番地先」 のように記録するものとする。

2. 「家屋番号」の付番ルールと実務

家屋番号は、建物一つひとつを識別するための番号であり、法務局(登記所)が付番します。原則として敷地の地番と関連付けて定められますが、複数の建物がある場合などのルールを押さえておく必要があります。

地番一致と支号の原則

家屋番号の定め方は、不動産登記規則および準則により細かく規定されています。

原則(一個一番号): 建物が1筆の土地(例:1番)の上にある場合、家屋番号はその地番と同一の「1番」となります。敷地に支号がある場合(例:1番1)は、家屋番号も「1番1」となります。

支号の付番: 1筆の土地に複数の建物がある場合、敷地の地番に符号(支号)を付して区別します。例えば、2番の土地に2つの建物がある場合、家屋番号は「2番の1」「2番の2」となります。また、既に「2番」の家屋番号が存在する土地に新しい建物を建てる場合、新しい建物は「2番の2」となり、既存の「2番」を変更する必要はありません。(そもそも家屋番号をつける権限は法務局にあるため、家屋番号の変更登記を申請するということはありません。)

複数筆にまたがる場合の家屋番号

建物が数筆の土地にまたがっている場合、家屋番号の決定には「所在」と同様の優先順位が適用されます。

1. 主である建物が存する敷地の地番。

2. 床面積が多い部分が存する敷地の地番(附属建物がない場合)。

例えば、床面積が2番地側に多くまたがっている建物の場合、家屋番号は「2番」となります。 また、主である建物と附属建物で構成される1個の建物には、全体で1つの家屋番号が付されます。附属建物単独に家屋番号が付くことはありません。

分筆・合筆に伴う家屋番号の変更

敷地の分筆や合筆によって地番が変わった場合、家屋番号も変更になることがあります。

敷地の合筆: 例えば10番と11番にまたがる建物の敷地が合筆され「10番」となった場合、所在は「10番地」となり、家屋番号も変更となる場合があります。

建物の合併: 複数の建物を合併して1個の建物にする場合、合併前の家屋番号のうち上位のもの(若い番号)を合併後の家屋番号とするのが原則です。

なお、家屋番号が変更となる場面で、変更後の予定の家屋番号を申請書に記載して申請をしますが、さきに記載したように家屋番号をつける権限は法務局にあるので、これは家屋番号の変更登記を申請しているわけではなく、登記官にわかるように準則の規定にしたがって記載をしているにすぎず、登記官側で適当でないと判断されれば、適切な家屋番号が付番されます。

<不動産登記事務取扱手続準則

(家屋番号の定め方)

 第79条 家屋番号は、規則第112条に定めるところによるほか、次に掲げるところ により定めるものとする。

 (1) 1筆の土地の上に1個の建物が存する場合には、敷地の地番と同一の番号をもっ て定める(敷地の地番が支号の付されたものである場合には、その支号の付された – 40 – 地番と同一の番号をもって定める。)。 

(2) 1筆の土地の上に2個以上の建物が存する場合には、敷地の地番と同一の番号に、 1、2、3の支号を付して、例えば、地番が「5番」であるときは「5番の1」、 「5番の2」等と、地番が「6番1」であるときは「6番1の1」、「6番1の2」 等の例により定める。

 (3) 2筆以上の土地にまたがって1個の建物が存する場合には、主たる建物(附属建 物の存する場合)又は床面積の多い部分(附属建物の存しない場合)の存する敷地 の地番と同一の番号をもって、主たる建物が2筆以上の土地にまたがる場合には、 床面積の多い部分の存する敷地の地番と同一の番号をもって定める。なお、建物が 管轄登記所を異にする土地にまたがって存する場合には、管轄指定を受けた登記所 の管轄する土地の地番により定める。 

(4) 2筆以上の土地にまたがって2個以上の建物が存する場合には、第2号及び前号 の方法によって定める。例えば、5番及び6番の土地にまたがる2個の建物が存し、 いずれも床面積の多い部分の存する土地が5番であるときは、「5番の1」及び「5 番の2」のように定める。

 (5) 建物が永久的な施設としてのさん橋の上に存する場合又は固定した浮船を利用し たものである場合には、その建物に最も近い土地の地番と同一の番号をもって定め る。

 (6) 一棟の建物の一部を1個の建物として登記する場合において、その一棟の建物が 2筆以上の土地にまたがって存するときは、一棟の建物の床面積の多い部分の存す る敷地の地番と同一の番号に支号を付して定める。

 (7) 家屋番号が敷地の地番と同一である建物の敷地上に存する他の建物を登記する場 合には、敷地の地番に2、3の支号を付した番号をもって定める。この場合には、 最初に登記された建物の家屋番号を必ずしも変更することを要しない。

 (8) 建物の分割又は区分の登記をする場合には、前各号に準じて定める。 

(9) 建物の合併の登記をする場合には、合併前の建物の家屋番号のうち上位のものを もって合併後の家屋番号とする。ただし、上位の家屋番号によることが相当でない と認められる場合には、他の番号を用いても差し支えない。

 (10) 敷地地番の変更又は更正による建物の不動産所在事項の変更の登記又は更正の 登記をした場合には、前各号に準じて、家屋番号を変更する。

3. 「建物の種類」の定義と判定基準

建物の「種類」は、その建物の主たる用途を示します。不動産登記規則第113条等に基づき、現況や利用目的に応じて適切に定める必要があります。

主要な種類の定義

実務で頻繁に使用される種類の定義は以下の通りです。

居宅: 専ら居住の用に供されるもの。

店舗: 商品を販売する店、飲食店、理髪店など。

事務所: 会社、法人、官公署などの事務を行う建物(銀行は除く)。

共同住宅: アパートやマンションのように、1棟の中に数世帯が独立して生活できる区画があるもの。ただし、所有権が単一で二世帯住宅として利用する場合などは「居宅」となるケースもあります。

倉庫: 物品を収納・保管する規模の大きいもの。小規模な日常雑貨等の保管用は「物置」とします。

車庫: 自動車等を格納するための建物。

その他、工場、病院、旅館、発電所など、用途に応じて多様な種類が定められています。

複合用途と附属建物の種類

複合用途: 建物の主な用途が2つ以上ある場合(例:1階が店舗、2階が自宅)、種類は「居宅・店舗」のように併記します。床面積の大小にかかわらず、主たる用途であれば記載します。

附属建物: 主である建物とは別に、効用を補助する建物(例:物置や車庫)がある場合、その種類も個別に判定します。

実務上の判定ポイント(現況主義)

建物の種類は、登記申請時点での「現況」に基づいて判断されます。 例えば、建築確認申請書で「事務所」となっていても、現況が「店舗」として内装工事が完了し利用される予定であれば、「店舗」として登記すべきです。 

4. 「建物の構造」の記載方法

建物の構造は、「構成材料」「屋根の種類」「階数」の3要素で表されます(例:木造かわらぶき2階建)。これらは建物の資産価値や固定資産税評価にも直結する重要な情報です。

① 構成材料による区分

建物の主要な骨組みや壁などに使われている材料で区分します。

木造: 柱、梁、小屋組に木材を用いたもの。

鉄骨造: 柱、梁に形鋼や鋼管を用いたもの(軽量鉄骨を除く)。

軽量鉄骨造: 軽量形鋼を用いたもの。

鉄筋コンクリート造 (RC): 柱、梁、壁などに鉄筋を組み込みコンクリートを打設したもの。

鉄骨鉄筋コンクリート造 (SRC): 鉄骨の骨組みの周りに鉄筋を配しコンクリートで覆ったもの。

• その他:コンクリートブロック造、れんが造、石造など。

複数の材料が使われている場合(例:1階が鉄筋コンクリート、2階が木造)は、「鉄筋コンクリート・木造」のように併記します。

② 屋根の種類による区分

屋根の仕上げ材料によって区分します。

かわらぶき: 日本瓦、洋瓦などの粘土瓦。

スレートぶき: 天然スレートや化粧スレート(コロニアル等)。

亜鉛メッキ鋼板ぶき: トタン板など。

合金メッキ鋼板ぶき: ガルバリウム鋼板など、サビに強いメッキ鋼板。

陸屋根 (ろくやね): 勾配のほとんどない平らな屋根。防水加工されたコンクリート屋根など。

③ 階数

層の数で区分します。「平家建」「2階建」「地下1階付き2階建」のように記載します。

地下階の判定: 床面が地盤面より下にあり、その深さが天井高の3分の1以上ある場合、「地階」として扱います。

特殊階: ロフトや屋根裏部屋などで天井高が1.5m未満のものは、原則として階数に算入しません。

<不動産登記事務取扱手続準則

(建物の構造の定め方等)

 第81条 建物の構造は、規則第114条に定めるところによるほか、おおむね次のように区分して定めるものとする。 

(1) 構成材料による区分

ア 木骨石造  イ 木骨れんが造  ウ 軽量鉄骨造 

(2) 屋根の種類による区分

ア セメントかわらぶき  イ アルミニューム板ぶき  ウ 板ぶき  エ 杉皮ぶき  オ 石板ぶき  カ 銅板ぶき  キ ルーフィングぶき  ク ビニール板ぶき  ケ 合金メッキ鋼板ぶき 

(3) 階数による区分

ア 地下何階建  イ 地下何階付き平家建(又は何階建)  ウ ガード下にある建物については、ガード下平家建(又は何階建)   エ 渡廊下付きの一棟の建物については、渡廊下付き平家建(又は何階建) 

2 建物の主たる部分の構成材料が異なる場合には、例えば「木・鉄骨造」と、屋根の 種類が異なる場合には、例えば「かわら・亜鉛メッキ鋼板ぶき」と表示するものとす る。 

3 建物を階層的に区分してその一部を1個の建物とする場合において、建物の構造を 記録するときは、屋根の種類を記録することを要しない。 

4 天井の高さ1.5メートル未満の地階及び屋階等(特殊階)は、階数に算入しない ものとする

5. 複雑なケースの対処法(分筆・合筆・えい行移転)

建物登記は土地の変動や建物の移動によっても修正が必要になります。

権利保全のための変更登記について解説します。

敷地の分筆・合筆と変更登記

分筆による地番変更: 建物の敷地が分筆され、例えば「1番」から「1番1」と「1番2」に分かれた場合、建物の所在も変更になるため、建物所在地番変更登記(所在変更)が必要です。

合筆による変更: 複数の敷地(1番、2番)にまたがっていた建物について、敷地が合筆されて「1番」のみになった場合も、所在変更の登記が必要です。この際、家屋番号の変更が必要になることもあります。

えい行移転(曳家)の実務

建物を解体せずにそのまま移動させる「えい行移転(曳家)」を行った場合、建物自体は同一性を保っているため、滅失登記・新築登記ではなく、所在の変更登記を行います。

同一敷地内での移動: 所在に変更がなければ、建物図面の変更を申し出ます。

別地番への移動: 所在変更登記が必要です。添付情報として、工事完了引渡証明書や移転の事実を証する書面が必要となります。

これらの変更が生じた場合、所有者は1ヶ月以内に登記申請を行う義務があります。

6. まとめ

建物の表題登記における「所在」「家屋番号」「種類」「構造」は、不動産の物理的現況を正確に公示するための基礎となる情報です。

所在: 敷地の地番と一致させるのが原則。複数筆の場合は床面積の広い方を先に記載。

家屋番号: 地番と一致させるのが基本(一個一番号)。付番ルールは登記所の権限。

種類: 現況の主たる用途で判定。「居宅・店舗」などの併記も可能。

構造: 構成材料、屋根、階数の3要素で正確に記載。

変更: 分筆、合筆、曳家などの変化が生じたら、1ヶ月以内に変更登記が必要。

正確な登記は、大切な資産を守り、円滑な承継や活用の第一歩です。複雑な案件や判断に迷うケースでは、専門的な知見を持つ土地家屋調査士への相談をお勧めします。

あつたの杜事務所では、不動産管理の経験と法律知識を活かし、建物の登記から相続・資産承継までトータルでサポートいたします。些細な疑問でも、まずはお気軽にご相談ください。


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