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相続手続き 2026.07.20

不要な土地を処分!相続土地国庫帰属制度の条件を解説

相続した不要な土地の処分にお困りですか?令和5年開始の「相続土地国庫帰属制度」を使えば、国に土地を引き取ってもらえるかもしれません。本記事では、司法書士・土地家屋調査士が制度の条件、寄付との違い、審査手数料や負担金などの費用、手続きの流れを分かりやすく解説。お気軽にご相談ください。

はじめに

親から不動産を相続したものの、「遠方で管理できない」「不要な土地の処分や寄付の方法がわからない」とお悩みではありませんか?

令和5年4月からスタートした「相続土地国庫帰属制度」を利用すれば、そうした不要な土地を手放し、国に引き取ってもらうことができるかもしれません。

本記事では、この制度の条件や費用、手続きの流れについて、専門家の視点からわかりやすく解説します。

この記事を読めば、あなたが相続した土地をどのように処分すればよいか、具体的な道筋が見えてくるはずです。

ぜひ最後までご覧いただき、手続きの第一歩を踏み出しましょう。

この記事の執筆者

雁部 陽介(かりべ ようすけ)  
あつたの杜事務所/司法書士・土地家屋調査士・不動産コンサルタント

大手司法書士法人での実務経験を経て、大手不動産マネジメント会社にてオフィスビル・大型物流施設のプロパティマネジメント業務に従事。表示に関する登記と権利に関する登記の双方を一つの窓口で完結できる体制を強みとし、法務手続にとどまらない不動産活用の視点から相続・登記のご相談に対応しています。

保有資格:司法書士/土地家屋調査士/不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士 など

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目 次

01 相続した不要な土地を手放せる「相続土地国庫帰属制度」とは?
02 制度を利用できるのは誰?(申請できる人の条件)
03 どんな土地でも処分・寄付できる?(引き取れない土地の条件)
04 費用はどれくらいかかる?(審査手数料と負担金)
05 申請手続きの流れ(解決へのステップ)
06 まとめ:手続きに迷ったら専門家へご相談を

1 相続した不要な土地を手放せる「相続土地国庫帰属制度」とは?

親からの相続をきっかけに、利用予定のない遠方の土地を取得し、管理の手間や固定資産税の負担に悩む方が増えています。

これまでは不要な土地だけをピンポイントで手放すことは難しく、自治体への寄付も条件が厳しいため断られるケースが少なくありませんでした。

そこで、所有者不明土地の発生を防ぐ目的で創設されたのが「相続土地国庫帰属制度」です。

これは、相続や遺贈によって取得した不要な土地を、一定の条件を満たした場合に国庫(国)に帰属させることができる画期的な制度です。民間への売却が難しい不動産や、寄付を受け付けてもらえない土地でも、この制度を利用すれば処分できる可能性があります。

図解1|ほかの処分方法との比較

 国庫帰属制度自治体への寄付民間への売却
確実性○ 条件を満たせば引取△ 断られる例が多い△ 買い手次第
費用負担× 手数料+負担金が必要○ 原則かからない◎ 収入になる
土地の条件△ 法定要件をクリアする必要× 公共利用の見込みが必須× 需要のある土地に限る
向いている土地売却先を見つけるのが難しい土地道路・公園等に使える土地需要のある市街地の土地
POINT 「売れない」土地の“最後の受け皿”として使えるのがこの制度です。

2 制度を利用できるのは誰?(申請できる人の条件)

この制度を利用して土地を処分できるのは、「相続または相続人への遺贈によって土地を取得した人」に限られます。

自分で購入した土地や、生前贈与で取得した土地は対象外となるため注意が必要です。なお、制度が始まる前(令和5年4月27日以前)に相続した土地であっても申請可能です。

また、土地が複数人の共有になっている場合は、共有者全員で共同して申請することができます。相続登記がまだ完了していない場合でも、相続人であることを証明する書類(戸籍謄本など)を提出すれば申請可能です。

図解2|あなたは申請できる? 判定チャート

取得のしかた申請の可否
相続で取得した 申請できる
相続人への遺贈で取得した 申請できる
制度開始前(令和5年4月27日以前)に相続した 申請できる
共有だが、共有者に相続取得者がいる 申請できる 共有者全員での共同申請が必要
自分で購入した× 申請できない
生前贈与で取得した× 申請できない

3 どんな土地でも処分・寄付できる?(引き取れない土地の条件)

国に土地を引き取ってもらうには、いくつかの条件をクリアする必要があります。

国が管理する上で過度な負担がかかる土地は、引き取りが認められません。

具体的に「申請自体ができない土地」としては、建物が建っている土地、抵当権などの担保が設定されている土地、他人が使用する予定の通路や墓地、土壌汚染がある土地、境界や所有権に争いがある土地などが挙げられます。

さらに、「審査で不承認になる可能性がある土地」として、

・高さ5m以上で勾配30度以上の崖がある土地、

・管理を阻害する工作物や樹木が地上にある土地、

・地下に有体物(ガラや浄化槽など)が埋まっている土地   

などがあります。事前にご自身の土地の現状をしっかりと把握しておくことが重要です。

図解3|引き取ってもらえない土地チェックリスト

【A】そもそも申請できない土地(却下事由)

×建物が建っている土地 古家・物置なども含みます。解体が必要です
×担保権や使用収益権が設定されている土地 抵当権・地上権・賃借権など
×他人の利用が予定されている土地 通路、墓地、水道用地、ため池など
×土壌汚染がある土地 特定有害物質による汚染
×境界や所有権に争いがある土地 隣地との境界が不明確な場合も含みます

【B】審査で不承認となる可能性がある土地(不承認事由)

一定の崖がある土地 高さ5m以上かつ勾配30度以上で管理に過分な費用がかかるもの
地上に管理を阻害する工作物・樹木等がある土地 放置車両、大量の廃棄物、繁茂した立木など
地下に有体物が埋まっている土地 ガラ、浄化槽、古い基礎など
隣地所有者等との争訟が必要な土地 通行の妨害など、解決に訴訟を要する状態
注意 建物があるだけで申請できません。解体後は「建物滅失登記」(土地家屋調査士の業務)が必要になります。

4 費用はどれくらいかかる?(審査手数料と負担金)

制度を利用して土地を手放す場合、手続きにかかる費用も気になるところです。

費用は大きく分けて「審査手数料」と「負担金」の2つがあります。※専門家に依頼する場合は別途報酬もかかります。

まず、申請時に支払う「審査手数料」は、土地一筆につき14,000円です。この手数料は、審査の結果もし引き取りが認められなかった場合でも返還されません。

次に、国の審査を通過し、引き取りが承認された後に支払うのが「負担金」です。これは、国が今後10年間土地を管理するための費用に相当するもので、原則として一筆20万円です。ただし、市街化区域内の宅地や、農用地区域内の農地、森林などの場合は、面積に応じて負担金が算定される例外規定があります。

図解4|かかる費用の全体像

費用の種類金額ポイント
審査手数料 (申請時)土地1筆につき 14,000収入印紙で納付。不承認・却下でも返還されません
負担金 (承認後)原則 1筆20万円国が10年間管理するための費用相当額。通知から30日以内に納付

図解5|負担金が「面積に応じた算定」になる例外

土地の種類負担金の考え方
市街化区域・用途地域内の宅地面積に応じて算定(面積が広いほど高くなる)
農用地区域等の農地面積に応じて算定
森林面積に応じて算定

※ 具体的な金額は法務省の算定式によります。隣接する複数筆をまとめて申請すると負担金を軽減できる場合があります。

申請手続きの流れ(解決へのステップ)

実際に相続土地国庫帰属制度を利用して不動産を処分する流れを見ていきましょう。

STEP 1法務局への事前相談 対象となる土地を管轄する法務局に相談を予約。登記事項証明書、公図、写真など土地の状況がわかる資料を持参し、制度の対象になりそうか確認します。

STEP 2申請書類の作成・提出 申請書、土地の位置・境界・形状を示す図面や写真などを作成し、審査手数料(収入印紙)を貼って法務局に提出します。

STEP 3法務局による審査と実地調査 提出書類をもとに法務局が審査し、必要に応じて現地調査も実施されます。審査には半年から1年程度かかることが想定されています。

STEP 4負担金の納付と国庫帰属 承認通知が届いたら30日以内に日本銀行で負担金を納付。納付が完了した時点で所有権が国に移り、手続き完了です。
目安期間:事前相談から国庫帰属の完了まで、おおむね 半年~1年程度 を見込んでおきましょう。

6 まとめ:手続きに迷ったら専門家へご相談を

相続土地国庫帰属制度は不要な土地を手放すための有効な手段ですが、条件の確認や複雑な申請書類(境界を明らかにする図面や写真など)の作成には専門的な知識が求められます。

ご自身での対応が難しいと感じた場合は、ぜひ私たち専門家にご相談ください。

申請書類作成の代行は司法書士が担うことができ、

境界が不明な場合は土地家屋調査士が的確にサポートいたします。

この記事のまとめ
✔ 相続や遺贈で取得した不要な土地を、国に引き取ってもらえる制度である
✔ 建物がある土地、境界が不明な土地、担保が設定されている土地などは対象外
✔ 手続きは法務局への相談 → 書類提出 → 審査 → 負担金納付の順に進む
✔ 複雑な書類作成や境界確認は、司法書士・土地家屋調査士に依頼すると安心


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